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TAKURO Interview 2011.11.15

3ヶ月連続CDリリースも11月16日に第2弾『My Private "Jealousy"』が発売となり、残す所あと1枚。東日本大震災に向き合ったことから原点に立ち返り、「do it yourself 」を掲げたGLAYのこれからのビジョンとは!?激動の日本、激動の音楽業界を見据えたバンド「GLAY」をTAKUROが語った。

TEXT:赤池沙希

「生きてく強さ」をもう一度掴むために、みんなで歩き出すための第一歩としての支援。

――今回の『GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2011-2012"RED MOON&SILVER SUN"』のツアーには、「普段会いにいけないファンに会いに行く」というコンセプトがあるそうですね。

TAKURO:3.11の東日本大震災があったことで、ミュージシャンとして、人として、これからを思う時だと思ったんです。やっぱり3.11以前と以降では、今まで日常だったものが非日常となり、生活が激変したと思います。だからこそ、「非日常であるGLAYのコンサート」をすることによって「かつての日常を取り戻す良い場所にもなりうるのではないか」という思いもありました。
今、復興地以外の、本来元気を出して日本の復興に向かって歩かないといけない人までもが、これからのことに対してものすごく不安を抱えている状況だと思うんです。今回のツアーは、「俺も同じような気持ちだけど、今俺たちが元気を出さないで復興地のために動かなかったら誰が動くの?」という気持ちで臨んでいます。
そして今回『HIGHCOMMUNICATIONS TOUR』シリーズとしては3回目で、選曲はJIROが担当しているんですけど、彼が何故本編の最後に『生きてく強さ』を持ってきたのかということが、痛いほどわかります。その、「生きてく強さ」をもう一度つかむために、もう一度みんなと一緒に歩き出すためにという想いで、バンド全体がライブに臨んでいます。

――これから復興を担う人たちに向けて、「生きてく強さ、大切さ」を伝えていく。

TAKURO:震災後、自分たちがまず出来ることをずっと考えてきて、5月5日から『Thank you for your love』というテーマを掲げ、TERUが中心となって支援活動を始めました。今回のツアー自体は5ヶ月くらいで終わりますけど、こういった活動はずっと続けていくために、長期的な計画を立てています。

ファンの人にクリスマスプレゼントを贈りたい。―――また来年も頑張るために。

――震災以後、GLAYとしての創作活動に変化はありました?

TAKURO:3ヶ月連続CDシリーズ第三弾に当たる、 12月14日に発売するクリスマス・ミニアルバム「Hope and The Silver Sunrise」の中にある『君にあえたら』は、ライブのエンディングでもすでに流していて、ライブを見た方は聞き覚えのある曲になると思います。
この曲を作るきっかけは、震災後にTERUが物資を持って現地入りした際に見たもの、聞いたもの、感じたものを僕に話してくれた所から始まりました。その中には、胸がつぶれるような痛ましい話がたくさんあって。たとえば、「見つからない娘を探している母親に会った」という話。それを聞いたとき、言葉にならない感情が湧き上がってきました。そういった言葉にならないもの、出来ないものを膨らませて書き上げたのが『君にあえたら』であり、一番震災の影響を受けた楽曲にもなりました。
やっぱりどの悲しい出来事もそうですけど、僕たちは当事者にはなり得ないし、それはミュージシャンという表現者の想像力をもってしても敵わない。だからある意味ルポルタージュですね。自分が見たまま聞いたまま、極力自分の感じたことを落とし込んでメロディーにすることに力をおきました。だからその人たちを歌ったということよりも、自分を取り巻く2011年を書いたという感じかな。2011年という年を、日本の長い歴史においてどう位置づけるか、自分にとってどういう年だったかということを描けていればと思います。

――このミニアルバムの曲はポップなイメージもありますよね。

TAKURO:こんな時だからこそ「自粛をする」のではなく、パーティの1つでもやろうぜってことで、そうしました。このアルバムを作った動機は簡単で、「ファンの人たちにクリスマスプレゼントを贈りたい」というところから。『Time for Christmas』なんかは特に、「いろんなことがあったけど、また来年からも頑張っていこうね」っていう気持ちになれるような曲です。

「ライブバンドである」ということが、「ゆるぎない誇りと自信」に繋がる。

――三ヶ月連続CDリリースの第2弾『My Private"Jealousy"』は久しぶりの通常流通でのシングルとなりました。

TAKURO:自分たちが今、ロックバンドを演れていて、その曲を聴いてくれる人たちがいる幸せを噛みしめながら、「バンド」の持つ魅力を全開にしていった楽曲です。音楽業界もめまぐるしく変わってはいるけれど、腹を割ってぶつかり合って、1つの物を作ることの大変さと面白さ。そこにあるマジックみたいなものを表現できてたらいいかな。

――『My Private"Jealousy"』は、どういったコンセプトで作りました?

TAKURO:シングル盤なんだから優等生な歌詞で、みんながわかりやすいメッセージだけじゃない、人間の持つ割り切れない感情を『My Private"Jealousy"』で表現したかったんですね。

――2曲目には『Snow Flake』を収録。北海道出身のGLAYならではのウィンターソングですね。

TAKURO:『Snow Flake』へは、自分たちの故郷,北海道で昔からずっと感じていた冬の空気感を織り込みました。同じくウィンターソングである『Winter,again』で表現した冬の厳しさとはまた少し違った、寒い冬だからこそ染みわたる暖かい心のやり取りを歌いたくなったんですね。

――3曲目の『残酷な天使のテーゼ(We Love Happy Swing Live ver.)』は夏に行ったファンクラブライブのテイクを使用しています。何故この曲なのかが気になるところですが・・・。(笑)

TAKURO:ファンクラブ・ライブを行う中、(今回のツアーの)アンコールで、ファンの拍手の多さによって曲を決めるという企画をやってるんですけど。候補の中にこの曲が入っている回には、かならず『残酷な天使のテーゼ』が選ばれるんですよね。改めて弾いてみると、HISASHIのロックアレンジが、GLAYのサウンドとすごく相性が良いんですよ。僕個人の意見としてはコレを聞いてもらえれば「今のGLAY」が誤解無く伝わる、という感じですね。

――GLAYの今もっている可能性が盛りだくさんのシングルということですね。

TAKURO:このバラバラの3曲にテーマを付けるとしたら、「ライブバンドである」ということ。そして、「そこにゆるぎない誇りと自信を持って活動している」ということ。 以前、「テレアサ★ドリームフェス2011」という20代~50代までのバンドが一堂に会したフェスへ出演したときに、志を持ってやっている人たちがいっぱいいることに気づいて、「自分たちももっとやれることがあるな」と励まされたんです。そこで感じたバンドらしさっていうものを、今回より表現したくなりました。

――『My Private"Jealousy"』を制作する上での苦労話などはありましたか?

TAKURO:キャリアのあるメンバーですし、見ている方向も同じだったので、作業自体は順調に進むかと思ったんですけど、転調が多い曲たちなので、TERUのコーラス録りの時は色々と試行錯誤をしていましたし。自分たちの事務所の地下に作ったスタジオでボーカル録りをしていたんですが、「ケーブルがねえ」、「スピーカーが片方鳴らない」、「上で会議の声がする(笑)」、「コンピュータが固まった」とか、ドタバタしていることも多々ありました(笑)。だけど、それにすら未来を感じることが出来て楽しかったですね。

GLAYとしての新たな指針。それが「do it yourself」。

――三ヶ月連続CDリリースの第一弾『G4・II‐THE RED MOON‐』へは、メンバー4人が書き下ろした4曲が収録されていました。

TAKURO:GLAYのソングライターとしては僕が今までメインでやってきましたが、他のみんなもいい曲をたくさん書ける人たちなので、「今までのGLAYのイメージ」に捉われない、「メンバーの表現したいものを形にしよう」というのがコンセプトにありました。 連続リリース3作品共通の想いとしては、自分たちを含めて、半径2メートル以内の人たちを幸せにして初めて、それ以外の人たちを巻き込めるんだという気持ちです。音楽の持つ可能性を信じ、それを音に落とし込んで、そこから生まれるエネルギーが人々の暗い気持ちを照らせばと思っています。

――『キリノナカ』という曲は、なんとも言えない悲しさを漂わせています。

TAKURO:この曲はまさに3月11日に制作していた楽曲でした。この歌は、「許されない愛情」という、わざとタブー的な所をテーマに持ってきています。

――『G4・II‐THE RED MOON‐』『My Private"Jealousy"』『Hope and The Silver Sunrise』と、3ヶ月連続リリースというのは、GLAYの新たな挑戦となりました。この狙いとは?

TAKURO:3ヶ月連続リリースというのはある意味実験であり、挑戦でもありました。TERUとよく「30周年の時に何を演る?」という話をするんですけど、「普通バンドは30年も持たないよ」と思いつつ、そこへ夢を馳せれることがちょっと嬉しくもあって、その話をすると、メンバー4人とも盛り上がれるんですね。 10年後や20年後を約束できるバンドというのは、日本中でもそんなに多くはないと思います。だからこそリーダーとして、「GLAYとしての指針」を考え直してみました。その結果、「良いことがあったら自分たちのおかげ。悪いことがあったら自分たちのせいっていう、"do it yourself"っていう意識や姿勢が一番潔いんじゃないか?!」っていうところにたどり来ました。

――今後、GLAYが音楽をやっていく上で目指す方向性は??

TAKURO:もっとGLAYをライブバンドとして誇り高いものにしたいなと思っています。たとえば外国からのお客さんに「日本の音楽を知るためにはどのライブが一番面白い?」と言われたときに、「GLAYのライブが間違いない!」と紹介されるような。大きい会場でも、それに負けることなく存在感が示せるバンドとして成長していくことを望んでいます。それ以外のことはそんなに多くは望みません。

「G-DIRECT」でもう一度バンド本来の形に。

――2011年8月には「直接ユーザーに作品を届けたい」というコンセプトを掲げたオフィシャルショップとして、「GLAY Official Store G-DIRECT」がオープンしました。

TAKURO:音楽業界における自分たちの役割は「音楽を作ることだけなんだ」という風に考えていた時期があり、「do it yourself」精神でやっていくということをデビュー以来忘れていたんですね。だけど、(未来への)地図がよく読めるJIROが先を示してくれたことから、みんなでハンドルを握る。コレが「バンド本来の形」であったことにようやく気づきました。

――確かに、音楽業界のみならず、社会全体のあり方全体が変わってきています。そこでGLAYとして「原点に戻る」という形をとったということですか?

TAKURO:原点にも戻るし、逆に、音楽業界から離れた所から今のあり方を見る必要があるとも思います。自分はミュージシャンとして、GLAYのリーダーとして十何年間やってきましたけど、ひとつの仕事をまっとうすることだけに甘えてる時代はもう終わったような気がしていて。
これまで音楽は、レコードやCDの溝に乗っている「目に見えるもの」でしたが、今では目に見えない「データ」になってしまった。つまり、人々の所有欲の変化というものをこの10年でものすごく感じたんです。聞く側の気持ちの移り変わりにぶつかった時、「今まで浸かっていたぬるま湯から僕らは抜け出さないといけない」と感じたんですね。自分たちのアイデンティティややりたい方向性をきっちり伝えるためには、誰かに任せるんじゃなく、自分たちでやることの必要性を強く感じました。
GLAYの音楽を買うんだったら「G-DIRECT」といったような信頼を獲得していきたいと思っています。 「G-DIRECT」で販売するのと、小売店で販売することの違いというのは、遊び心の問題だけかもしれないですね。誰にでもウケる優等生な楽曲というのは、どこに行っても礼儀正しく挨拶するんだろうけど。『G4・II -THE RED MOON-』に収録したHISASHIの書いた『everKrack』という曲は、一般的に扱いづらいし、無礼だし、やんちゃな曲だから、これまでだったら「もうちょっと万人に馴染むように」という、メジャーとしての宿命が押し寄せてきてたんです。だけど、「自分たちの表現自体を抑えるようなことはもうしないで、俺たちの持ち味を出したいだけ出せばそれでいいじゃないか」「ブラックな部分もGLAYの側面なんだ」っていうのを、もっともっと伝えたくなったんですね。

――だから、「G-DIRECT」 が必要だったと。

TAKURO:「音楽を届ける方法」すら、ミュージシャンとしての表現として成り立つんだということへ、僕ら自身がすごく期待しています。そこにタブーは無くて。もしあるとしたら、それは古い習慣だけですね。メンバーの中にある新たな表現を。ちょっといかがわしい感じで、きっちりとロックの危ない匂いを残しながら、どうやってファンの元に届けようか。どうやって音楽ファンに響かせようかと考えた時に、「G-DIRECT」のような表現が一番いいのかもしれないですね。

踏ん張り時にはお互い支えあう。そこに距離は関係ない。

――ツアーの方もまだ前半戦ですが、パフォーマンスや体調的な問題は大丈夫ですか?

TAKURO:今踏ん張り時だけど、支えあって元気出して、同じように傷ついているGLAYファンがいるんだったら、その人たちを励ましに行こうぜというスタンスで。それは距離とかではなくて気持ちって意味なんですけど、そういうような思いで、今は、毎回のステージに立ち続けています。


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